情報倫理の意味すること

情報倫理について「情報化が進展している社会において、その情報化の進展に即しながら社会的規範について考える学問である」と考える。理由は以下の通りだ。まず、情報倫理について「情報」と「倫理」に分解して考える。「倫理」とは、「道徳規範」とされることが多い。広辞苑第 6 版によれば、道徳とは「人のふみ行うべき道。 ある社会で、その成員の社会に対する、あるいは成員相互間の行為の善悪を判断する基準として、一般に承認されている規範の総体。法律のような外面的強制力を伴うものでなく、個人の内面的な原理」とされている。 情報倫理も倫理という名が付いているようにこの定義を応用したもので、したがってある種の規範であるということになる。具体的には、情報化社会における規範を考える学問であるということができる。ただし、「ある社会で」という点で注意が必要で、時代や前提とする条件によって倫理は変わり得るということだ。過去において、例えばギリシャ・ローマ時代の倫理学者が述べてき たことは現代に通じる点もあるかもしれないが、それがそのまま現在も妥当性を保ち続けているとは限らない。情報倫理も同じで、「情報」という言葉に含意される事柄が変化すれば、倫理上検討すべきであると認識される状況も、またその解答も(あるとすれば)変化すると思う。( 567words )